コーヒーハウス 18世紀 ロンドン, 都市の生活史

コーヒーハウス 18世紀 ロンドン, 都市の生活史

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

を読んだ。生活/ジャーナリズム/文学と密接に関わっていたコーヒーハウスの特徴や様々なエピソードを紹介している。
コーヒーは珍しい飲料で二日酔いにも効くというふれこみで売り出され、ロンドンには最盛期で300件ものコーヒーハウスが出来た。議論や批評や暇つぶしなどの空間として上中流階級に支持された。ニュースを読んだり聴いたりする場にもなり、初期の新聞や雑誌の発展とも関わりがあった。あまりに自由な議論やクラブが出来て、世論を煽動しようとする不届きものまで出たものだからそれなりの規制がかけられた。規制は衰退の一因ではあるだろうが、経営者の抵抗があり、それだけでは衰退の原因としては弱かったように思える。人間のるつぼ的な性格のコーヒーハウスの客層は時間とともに分かれていった。インターネットと同じように思う。この客層の固定化も衰退の原因として挙げられている。閉鎖的/固定客のたまり場になり、賑やかというよりはなまぬるい空間になっていったのかもしれない。より直接的(客観的?)な理由に思えるものとして、コーヒーハウスの数が多くなりすぎたこと、酒を出すようになってしまったこと、コーヒーの輸入状況や個人の家の環境の変化などが衰退の原因として挙げられるようだ。植民地から安い茶が輸入されるようになり、コーヒーを飲むのではなく、個人宅でのアフタヌーンティーが習慣化されたらしい。