民主主義という不思議な仕組み

民主主義という不思議な仕組み/佐々木毅

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

を読んだ。分かりやすく、読みやすいが、ついつい考えてしまって明るい気持ちのまま読み終える事はできなかった。

  • 1章。民主主義のルーツとしてギリシアの民主政についてのレビュー。権力者もそうで無い人も、法に従う。アリストテレスによると民主政は悪い方の政治の中ではマシな方らしい。直接民主政の欠点は、権力の濫用とスペースの不足。
  • 2章。代表制付きの民主主義~議会制と大統領制。法と人権により権力の在り方が変わる。分権といった考えが入ってくるのもこれくらいから。
  • 3章。「みなし」の積み重ねと民主主義。代表者を選出することを繰り返す。この際に問題となるのが、誰を代表しているのかと、代表者が代表していると「みなされる」こと。「みなす」だけで安心するのは怠惰。選挙において多数の代表としてみなされることになるけど、影響力としては非選挙時の強力な少数の方も無視出来ない。
  • 4章。世論が支配しているという概念に安心しきって、その世論がどのようにできているかについては注目しない人達。安っぽい大衆は不安定な民主政治しかできないという警告。
  • 5章。政治とどう対面するか。江戸時代まで遡って、政治と対面しようとしない日本人の性質を解説。その上で「正理を守って身を棄つる」ことの重要性について、ソローやガンジーを例に挙げて説明。こういった精神的な理想を大衆に要求するのなら、それは難易度が高いと思う。
  • 6章。これからの政治に向けて、その前に戦後の政治のレビュー。