クラウド化する世界
「一つの機械(ワン・マシン)」、「雲(クラウド)の中に住んで」という二章構成。面白かった。
- 作者: ニコラス・G・カー,村上彩
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 単行本
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- 電力は始めは工場に備え付けの発電機で発電して利用していたが、交流の技術が確立されてからは中央発電所からの送電を受け取る形で使うようになった。
- アプリケーションが各人のパソコンにインストールされ、各企業のメインフレームが整備された状況ではじめて威力を発揮するという状況が続いていたが、今ではアマゾンやグーグルの例で分かるように計算機一式はユーティリティとして提供され、端末でそれにアクセスすれば良いという形に移行している。サーバを立ち上げずともブログやフリッカーやGoogle appでなんでもできてしまうし、仮想的なメインフレームの構成も簡単にいじることができてしまう。
- 電化が人々の生活スタイルを変えたということ。例として家事と女性の生活スタイルの変化と、個人の繋がりや共同体の関わりの希薄化。
「雲(クラウド)の中に住んで」では視点を各ユーザに当てる。
- ユーザはインターネットの力を得てより自由で平等な世界へと突き進む……という幻想。ユーザの好みというフィルタや、処理できる情報量というフィルタがあるために、コミュニティはドメイン構造をなす。一度ドメインが出来てしまうと、ドメインの中では極端な思考が促進される方向へと進む可能性を指摘。
- コンテンツがバラ売りされるという現状。広告収入との繋がりの関係上、金にはならないが非常に良質の記事が駆逐されていくということ。消費社会?
- 広告について。今では広告主は有用な広告を見抜いて効率的に広告を提供できる。グーグル検索の広告とか。
- ユーザがコンテンツを作りユーザがコンテンツを消費するようなサイトでは、ユーザは楽しみ以上の対価は貰えず、サイト運営者に大量の利益が舞い込む。これはグローバル化以上に貧富の差の拡大に拍車をかける。
- ロボットによってネットが危ぶまれているということ。例としてスパムからサーバをクラッシュさせるケース。また、機械的に壊れてしまってやばいケースも指摘。地域単位でgoogleが何週間も使えなくなったらどうなってしまうだろう。
- 匿名なんて幻想でしか無く、個人情報とみなされていないものから個人を特定できてしまうということ。これはより大きな集合、たとえば国家などの手のひらという蜘蛛の巣の上で支配されていることを意味する。
- googleのトップの目標。検索データベースの極限としてのAI。脳にgoogleを接続できるかな?*1学習するプログラム。多量のデータやタグを摂取することで、その意味を自ら模索するようになる。関連することを色々思いついたけども、まとめるのがめんどいので省略。