自己防衛的説明責任

LHCで計画されている実験に、ごくごく小さなブラックホールを作ってそれが蒸発して出てくる粒子だかを見るという実験*1がある。
ブラックホールという所に過剰反応しているのか、「実験で出来たブラックホールが地球を飲み込んでしまって地球は滅亡してしまうからやめろ」と主張する団体がいるのは知っていた。この団体をクローズアップしすぎたメディアがあったようで、地球が滅亡すると信じ込んだ人が複数出ただけではなく、自殺をしてしまう少女が出てしまったらしい*2。なんというか……偏った報道や偏った知識は良く無い。特に、ある程度以上知識を持っていないときちんとした判断が全く出来ないような内容を報道する場合には気をつけて欲しい。自分だって物理をやっていなかったら、鵜呑みにはしなかっただろうけども、物理に詳しい友人を探して問いつめるなどのアクションを起こすくらいには不安になったと思う。
不安になる前に調べろ/ぐぐれと言いたくもなったが、調べる環境が整っていない人の方が多いのだと思う*3。能動的にアクセス出来る情報の分布を超えて、広く分布した情報*4がメディアから受動的に降り注いでくるような現状は何だか変な気がする。
まぁ、現状をどうこう言っても短期的にはどうしようもないわけで、違和感を感じるならば何かアクションを起こさないといけない。素粒子、特にストリング関係の啓蒙書は良く見かけるけども、LHCも動いたことだし、この手の誤解を招かないための、ブルーバックス程度の啓蒙書*5とか誰か書かないのかな。もしくはblogとかでも良い。こんな一学生によるものではなくて、もっと権威のある信頼出来る人のblog。今回の記事やメディアの一部の煽りは大衆のイメージ的に物理学者にとって良く無いことは明らかだし*6、「物理学者のコミュニティの自己防衛」として何らかの行動を起こしても良いんじゃないでしょうか(>御偉方各位、特に素粒子物理の。)。

*1:詳しくは知らない。余剰次元がどうたら。

*2:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-33702120080911

*3:ぐぐった所で物理が分からないと判断出来ない気もする。

*4:それは分野的かもしれないし、空間的に広く分布しているが故に実感を伴わない/実証が出来ないものかもしれない。

*5:高校生程度の学生や、記事を書く記者のような人でも読めるという意味で。

*6:大衆の持つ物理学者のイメージが不当に悪くなるとすれば、それは長い目で見れば大衆にとっても良く無いことだろうし。