物理図書にて熱力的時間

O君らの会話を少し聞きながら、「温度差のある環境をキープして片方の熱容量が大きく熱源として近似できるならば、熱浴と同じ温度になる」なんてことを考えていた。大抵の場合、「温度差」を感じた場合は人は引いてしまうものだけど、そこで引かなければ熱をやりとりして平衡状態に達する、と。例としては、2年の冬にホモロジー代数的理論なんて本を読む人と長く接触してしまった(それまで代数は線形代数しか知らなかったのに)がために、僕がますますちょっと数学よりになってしまったことなど。「この漫画面白いから絶対に読んだ方が良いって!」と「熱く」語る人との「温度差」も同様か。
さて、この非平衡状態は平衡状態に達するだろうか。
熱力学つながり。去年落とした統計の単位を拾おうとしている友人と話した。レポートの2番は去年と同様にカルノーサイクル。この熱効率は高校生でも求めることが出来るのに、しかし大学生でも符号を間違えがちな問題。レポートとしては必須な問題なのかな。ΔU=Q(in)+W(in)のように一貫した態度で熱力学第一法則を使い続けていれば問題は無いのだけど。熱力学第一法則をどのような形で覚えるかには「哲学」があると思っている。僕は、中身はブラックボックスで外から操作をすることしかできないという立場に経てば上の表式が自然に思えるけど。普通はどう思うのだろう。
サイクルつながり。サイクルは温度差を利用して仕事をさせるものだけど、熱源の熱収支が上手く分かっていないものを用いて構成しようとすれば、永久機関が出来たとか言ってしまったりするのかもしれないと思った。歴史を見る限り熱力学第2法則は信用に足るものだと思うので、熱収支が分からない場合は第二法則から不等式で評価して不明な収支を探す方向で実験を進めて行けばよいのだと思った。
先ほどの統計のレポートで、3番が光子気体についての問題だった。ステファンボルツマンの法則を確認する問題。光子気体は是非ともやるべき問題で、というのも光子は生成消滅をしたい放題するから粒子数が不定であるという点で重要だから。粒子数がいつも確定していて、しかもそれらが保存するような系だけを考えれば良いのなら化学ポテンシャルなど考える必要無いのだけど、反例が光子気体なんていう身近な所にあるからには化学ポテンシャルをきちんと理解しよう…なんていう詭弁チックな説得が可能。そんなことを話しながら、化学ポテンシャルは物理学科生だろうとあまり好まれていないのだと確認。化学屋さんは好んでいるのだろうか?
粒子数不定なものから連想するのはNambu-Goldstoneの定理。励起子の数…というかエネルギー量子のようなものが決まらない点が似ている気がする。量子光学で単独のフォトンを扱うような初等的教科書ってあまり無い気がする…なんてことを昨日M君と喋っていたのだが、そもそもバーチャルな粒子とか励起子において単独の粒子を考えられるような状況ってあまりない気がしてきた。フォノンの数とか気にすることないし、スピン波とか出てきたらそれはもう波というくらいで数とか考えるわけもない。
帰りの時点でまだ非平衡状態だった。スケールに応じて緩和時間も変わるのだろうな…それとも比熱が大きいのだろうか?なんて思ってしまった今日は熱力学漬けな日。