聖骸布血盟

聖骸布血盟 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)

聖骸布血盟 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)

面白いんだけど、ミステリって何なのかが良く分らない。何と言うか分からないものが出てくる物語はミステリというくくりなんだろうか。いっそのこと物理ミステリとかどうだろうとか妄想。そしてそれなら探偵が出てくるミステリは推理ミステリとか書くべきか。
内容は聖骸布の謎を題材としてふくらませた歴史ミステリ。ダヴィンチコードみたいな楽しさ。歴史にイフは禁句と言うけど、歴史上の謎が隔てる分からない2つの点を繋ごうという努力は評価すべきかと。妥当な繋がりもあれば、眉唾な繋がりもある。でもそれが謎であるからにはどちらの繋がりも捨てることは出来ない。そんなことは無いなんて切り捨てるのは逆に不自然。自分の研究内容にあやふやなものを持ち込まないためには、妄想を学説の一部にしないように努力すべきでその努力は妥当なんだろうけど、謎を解明するためには数多の妄想の中から真実を掴もうとしなければ何も出来ないんじゃないかなとか思う。
一歩違っていたら数学好きの歴史屋さんになっていた身としては、こういう適当な小説はてきとーに楽しめて良い。