風呂の渦

ネタ振りとしてはここを参照。
http://d.hatena.ne.jp/qqqlxl/20051123/p1

  • コリオリ力による影響があろうとも、渦の向きを決定する因子として初期条件がそれ以上の影響を持つ場合は「コリオリ力のみによって渦の向きが決まる」というのは当然間違い*1。しかし、コリオリ力の向きとは逆向きの渦が見えたとしても「コリオリ力はきいてこない。初期条件によってのみ決まる」というのは言い過ぎかと*2。そして初期条件が大きな影響を持つと期待されるなら、それ以上の議論として、オーダー評価くらいしか余地はない。複雑な系を考えるのならどの項がどれくらい効いてくるのかをきちんと調べる必要がある。色んな条件で実際にその条件がどれくらいの大きさの影響を持つのかを調べないとオーダー評価すら出来ない。
  • ある命題を否定する時には、その命題が何を言っているのかをきちんと明らかにしてからでないと何を否定しているのかが当然のように分らなくなる。否定するにしてもどの部分をどのような根拠で否定するのかを明らかにすべき。「〜は嘘」なんていきなり全否定かますなんてことがあるとすれば、それはどうかと思う。
  • オーダー評価の難しさ。複数の条件が結果に寄与するとするならば、それらを漏らさずに評価するのは難しい。また、複雑な系になってくるとそれぞれの条件がどれだけきいてくるのかを評価すること自体が難しい。
  • 弱い原因由来の結果を見ることの難しさ。その原因以外の原因がきいてこないような状況を用意することがまず難しい。また、どのような形で結果に現れるかというのもきちんとしなくては。渦の向きの場合、北から南の半球に赤道を通過したらそこで渦の向きがきれいに変わるなんてことはまずない。あるとしても、様々な条件で統計誤差が小さくなるくらいに何百回と実験した結果として有意な差が得られるかどうか。これはもしもコリオリ力が強いとしても、複数の条件が絡んでくるのなら行わなければいけないこと。
  • この場合の対照実験は……考えただけでも怖い。

他にもこまごまと。

  • コリオリ力が効かないというのはどういうことか。統計的には効く気がする。
  • 風呂から上がってから栓を抜くまでコリオリ力はずっとかかっている。
  • 風呂ではなく洗面器の真ん中に綺麗に穴を空ければどうか。逆さにしたペットボトル(1.5l)ではどうか。
  • 幼稚園児・小学生にはどれくらいの方便を使って良いのか。また、小学生用の教材にはどれくらいの理想化がなされているか*3
  • 幼稚園児・小学生用の方便をつっつくように否定してわいわいやってる*4のはどうなのか。
  • 風呂と配水管の形状が効いてくるとするなら、家庭でコリオリ力と渦についての実験を風呂を用いてするにはどのようにすれば良いのか。
  • 風呂に入ってから水を抜くまで長時間かかるとする。粘性が滅茶苦茶小さいとするなら長時間の後には滅茶苦茶速く回ってるのだろうか。

教訓としてフィードバックしておきたいこと。

  • 実験にしてもシミュレーションにしても、確認したいイベントは何か、どのような原因を想定しているかなどは十分に検討してからでないと的外れ*5な実験・シミュレーションになってしまうかもしれない。
  • オーダー評価のための簡易実験。複数の原因が絡んでくるのなら、そこから少数の原因を取り出して来て条件を変えてオーダー評価を行うことは重要に思える。
  • 低温・真空・磁場etc。量子効果を見る場合には系を綺麗にする必要がある。どこまで実験の条件を絞ることができるか。理想的な状況ってそもそも考えることができるのか。
  • 近似として無視をすることの危険性。オーダー評価の重要性の裏返し。実験をする場合にはやはり誤差をきちんと評価することが大事であるということ。

以前にどっかで聞いたことあるようなことばかり教訓として残るのはどうなんだろう。
ネタとして。

  • 流体として水を採用。容器に穴を空けて吸い込みの代わりに。水道の水を静かに加えていくことでわき出しの代わりに。これで2次元系を近似的に実現するためには水の厚さはどれくらいまでなら良いか。
  • 楕円円筒状の洗面器の両焦点に吸い込みを用意した時の短軸上の動き。
  • 粉体として砂を採用して相転移を見る場合の秩序パラメータを考えておくヒント。

*1:コリオリ力以外の因子が入って来た時点で間違いだが。

*2:"理想的"な状況ではコリオリ力由来の渦が高確率でできると思う。

*3:そんなこと考えて作られてないだろ、という突っ込み禁止:顔

*4:何かを否定することに楽しさを見いだしているように見えるのなら、それは嫌だ。それが有用なこともあるだろうけど、あまりにも後ろ向きに思えるなら嫌。

*5:真後ろに向けてうっていたりして。