食が分かれば世界経済がわかる

「食が分かれば世界経済がわかる」を読んだ。
経済のうち、食料が占める部分というのは大きいわけだから、良い着眼点で凄く直感的に分かりやすい気がする。ただ、「文化レベルの指標として、食文化のレベルがとても良い指標になる」というのがより内容の一部分を反映したものだと思う。ファストフードを食文化を壊すものと両断し、スローフード、特に素材の扱いと味に拘った日本食をプッシュし、最近のアメリカで日本食が流行って来ているのをルネッサンスならぬリ・オリエントと呼び、文化としての日本食などの重要性の自覚を促している。
以下、メモ。

  • フランスの食に対する拘り。ミシュランガイドの三ツ星の数が、東京>パリになった時にかなりの物議を醸したのもうなずける。むしろ、あの程度で済んだのかと思えてくる。
  • 富裕層の食のレベルは分かるのだけど、歴史的な一般人の食のレベルが気になる。
  • 種々の文化を受け入れて雑多な文化を構成できればそれはおおらかな良い文化になりうると思うけど、ある程度以上の豊かさが必要だとも思う。
  • 豊かな食を持っていたアジアを後進国であるヨーロッパが植民地化出来た理由。四大香辛料:胡椒・シナモン・クローブナツメグ。香辛料が原価の百倍以上の利益を生んでいた。何だか実際以上の冨が生まれている気がするけど、それだけ大航海というものが大きな威力を発揮していたと思うべきか。
  • ファストフードの侵略。食を資源として見るか、文化として見るか。アングロサクソンVSアジア・ラテンという二極化。ちょっと極端すぎるけど、言いたいことは分かる。後者の方が好きだけど、前者のやり方でないと、戦争や資本主義的な競争には勝ちにくいだろうと思うので、何とも言えん。どっちか一方じゃなくて中庸を取れれば良いのだけど。
  • 「ヨーロッパのブランド」というブランド。
  • 「食」というものが本来工業化に向くかどうか、というよりも、工業的に作られた食を良いと思うかが直感的には大事だと思う。
  • コスト削減の限界、超えてはいけない一線。こういう線は超えてから初めてその線があることに気づいたりするから大変。
  • アメリカの食文化はファストフードが根付きやすい食文化だった。その理由はなんだったんだろう。この本では結果が理由として書いてあるように見える。ここでは理由はあまり重要ではないのかもしれないが。
  • アメリカで日本食を知らない人が出しているJapanese restaurant。これは問題だけど、対策は取られていないのか?取れないのだろうか。著作権の文化版みたいな物があれば問題ないのかもしれないが。