哲学101問
哲学101問を読んだ
- 作者: マーティンコーエン,Martin Cohen,矢橋明郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/10/08
- メディア: 文庫
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いかにも哲学っぽい問題からあまり哲学っぽくない問題まで揃っていて、ぱらぱらと眺める分には結構楽しかった。どの問題も問題設定を述べた後に、太字に問題文が投げかけられる。問題設定が適切ではないように思えるものもあるし、考えさせられる問題もあるのだが、くだらなく、かつ印象に残った問題を一つだけ紹介すると「シュレディンガー教授はうまくいくだろうか?」
テーマを並べると、論理ループとパラドクス、倫理的物語、数の問題、ゼノンのパラドクス、価値判断、絵画パズル、時間をめぐる問題、個人的なもん亜痔、伝統的な問題、不愉快な医学的な問題、中国の古典、宗教的諸問題、自然哲学の基礎的な諸問題。
特に倫理に関する問題を読んでいて思ったこと。一人の人としての倫理はあると思うけど、スケールが違う場合にはそのスケールにおける倫理というものが有る気がする。例えば一人の人が他の人を人数で表す*1の非倫理的だと思うのだけど、「王」の場合は他の人を人数で表すのがむしろ倫理的なケースがあると思う。言い方を変えると、スケールが違う場合にはそのスケールにおける倫理というものが有る気がする*2。「王」が直面する問題のうち、論理や一貫性では判断しきれない部分は「王」の倫理に任せざるを得ないわけだけど、その倫理は間違いなく個々人の倫理とは違うように思う*3。そして、「王」が「王の倫理」で正しく判断した場合、それによってどんなに重要なことがなされたのだとしても、大多数の「個人」は「個人の倫理」でしか判断できない、ないしは「個人」は「個人の倫理」に適合するような意見しか表明を許されないので、その倫理の不一致に不満を感じ、「王」を使い捨てるという絵が想像された。多数って怖い。